【ご相談内容】兄弟姉妹死亡の場合の代襲相続と相続放棄

叔父の相続についての質問です。

上越の方に住んでいる叔父が亡くなったそうです。

叔父には、うちの父親も含めて、兄弟が3人いますが、いずれも他界しております。

具体的には、このような感じです。

私は、別に、叔父とも交流がなかったですし、正直言って、叔父はタクシー会社に勤務はしてはいたものの、パチンコで借金があるような話も聞いていたので、気持ちが悪いから、相続放棄しようと考えております。

叔父は、未婚で、子供がいません。

ですので、もし、叔父に借金があった場合には、私といとこ達がそれぞれ借金の返済義務があるのですよね?

その場合、均等に借金の返済義務を負うのでしょうか?

仮に、私が相続放棄をした場合には、残りのいとこ達の借金の負担割合が増えますか?

【ご回答】~弁護士〔新潟市(新潟県)〕からのご説明~

代襲相続とは

代襲相続とは、本来び相続人資格を有する人が相続する時点で亡くなっている場合に、その人の子が代わりに相続することを言います。

被相続人の配偶者以外の親族については、相続人資格に順位があります。

第一相続順位は、被相続人の子

第二相続順位は、被相続人の父母

第三相続順位は、被相続人の祖父母

第四相続順位は、被相続人の兄弟姉妹

となっておりまして、本件では、未婚で、妻も子もおらず、その親もいなさそうですので、おっしゃる通りに、本来の相続権は、その叔父さんの兄弟姉妹にあります。

そして、相続人となる兄弟姉妹がすでに死亡している場合となりますと、 相続人となるはずの兄弟姉妹の子が代襲相続します。

つまり、死亡した兄弟姉妹に代わって甥や姪(あなたやあなたのいとこ)が遺産を相続します。

ちなみに、兄弟姉妹の代襲相続は一代限りです。

つまり、代襲相続ができるのは甥や姪までであり、甥や姪が死亡している場合は、その人の子が再代襲することはありません。

なお、正確に言えば、代襲相続は、本来の相続権を有する人が被相続人よりも前に死んでいる場合のみならず、「相続人廃除」及び「相続欠格」でも発生します。

「相続人廃除」とは、被相続人の意思によって相続人の相続権を奪う制度です。

廃除できるのは、遺留分の権利を有する相続人だけです。

遺留分の権利を有しない相続人に相続させたくなければ、そのような遺言を書けば済むだけです。

廃除が簡単に認められるかというと簡単ではありません。

そもそも家庭裁判所の審査が必要なのですが、

「相続人の被相続人に対する虐待もしくは重大な侮辱」、「相続人の著しい非行」

でかなり悪質なものでないと、なかなか裁判所は認めてくれません。

「相続欠格」とは、相続人が一定の行為を行った場合に当然に相続資格を失うことをいいます。

故意に被相続人や相続人を殺したり、脅して被相続人の遺言の作成を妨害した場合など、犯罪行為を行ったような場合です。

代襲相続でも借金も相続される

ご質問にあるように、もし、その叔父さんに借金があり、それを支払わないまま亡くなったということであれば、その支払い義務は相続人に引き継がれます。

今回のケースですと、本来は、あなたのお父様も含めた叔父さんの兄弟姉妹に相続権が発生します。

しかし、それら兄弟姉妹がすでに亡くなられているということですので、あなたやいとこの方々がそれぞれのお父様・お母様に代わり相続することになるのが原則です( 兄弟姉妹の代襲相続 )。

被相続人からみた甥・姪が代襲相続する場合は、死亡した本来の相続人である兄弟姉妹(甥・姪から見た親)の相続分を引き継ぎます。

たとえば、被相続人の兄弟姉妹のうち、子が3人いる人もいれば、子が1人いるしかない人もいるというような場合、子が3人いた場合には、本来の親の相続分の3分の1ずつを代襲相続しますが、子が1人しかない場合には、親の相続分をそっくりそのまま代襲相続することになります。

借金の相続割合は法定相続分に応じて

また、相続において、借金があった場合には、法定相続分に応じて、借金の支払い義務も承継することになります。

今回は、あなたといとこの方々で、3分の1ずつの借金の支払い義務を負います。

そして、もし、あなたが相続放棄をした場合には、法定相続分が、いとこの方々2人になるので、それぞれ2分の1ずつになります。

つまり、あなたがおっしゃるように、あなたが相続放棄をすることによって、いとこの方々の法定相続分が増えて、借金の返済義務の負担割合も増えるということになるのです。

ただ、いとこの方々も、そのあたりは、ご自身で判断されるでしょうから、もし、相続することによって、借金の支払い義務を負いたくないと思えば、それぞれ、別途、相続放棄すればよいことです。

ですので、あなたが相続放棄をすることによって、他のいとこの借金の返済義務が増えてしまい、それでは気の毒だから相続放棄をしないでおこうか、などとは、一切、考える必要がありません。

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